2006-12-18
夏目 漱石著
新潮社 (2003.6)
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『猫』は、今まで僕が読んだ中で一番面白い小説です。「吾輩が鍋に顔を突っ込んで踊る」所を読んだ時には笑いが止まりませんでした。その後も思わず噴出してしまう場面が多々あって、漱石がこれ程面白かった事を初めて知りました。高校の時読んだ『こころ』の印象しか今まで持っていなかったのが原因かな?こんなに楽しめるなら、漱石の他作品、特に初期の頃のは読んでみたいですね。
この作品は、漱石が連載を続けるのが嫌になって、猫を殺してしまったそうだけど、それでも上手く結末が書かれてましたね。それまでの落語の様な雰囲気から、一気に、なんだかしんみりと物悲しい空気が出てきて、それでも「吾輩」は吾輩らしさを失わずに、死んだ所で物語は終わりました。この終わり方は、『猫』がどういう作品であったかを示していると僕は思います。
『吾輩は猫である』は、まずもって笑いをもたらす作品だけど、その笑いの裏には何かしらの深いものがある。多くの評論家が言うにはそれは文明批評であるらしい。確かにそういう面もあるだろうけど、僕としてはそれよりも、ネガティブな思想が根本にはあって、それが個々の事象を否定しているように感じました。読んだのがもう10日近くも前で、あいまいな記憶で書いているけど、笑いの中にそういう否定的な影が差しているのではないかと思っています。
まぁそれでも読んでる最中はただただ楽しんで読めたので、これまでの読書には無かった経験ができて、読んだ甲斐がありました。今年の五月頃に読んだ村上春樹の『海辺のカフカ』には漱石のオマージュが多々あったけど、『猫』の影響が一番大きいように見えます。これからも、この作品は日本文学の傑作であり続けるんでしょうね。
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